Fishing Takeo

  マ ダ イ
【別 名】ホンダイ、タイ、サクラダイ、カスゴ
【漢字名】真鯛
【英 名】RED SEA BREAM
 ■ 魚形 ・ 生態 ・ 漁場
体は側扁して赤く、体側に小さく鮮やかな青斑が散在し、尾びれの後縁は黒っぽい。両顎には
よく発達した2列の臼歯
がある。水深200mまでの砂礫底や岩礁などに生息し、2歳までの若魚
は砂底や砂礫底を、成魚は岩礁を好む傾向
がある。冬期の水温が8℃を下まわる海域では生
活できないといわれる。
甲殻類、貝類、イカ類、クモヒトデ類、小魚などを捕食するが、摂餌行動は、水温が18℃以上
で活発になり、12℃以下
でほとんど停止する。春から初夏にかけて、岩礁付近の浅場で産卵
する。幼魚は、水深50m以深で越冬した後、浅場
に現れて活発に餌を食べ、秋になると水温
の低下に伴って深場へと移動する。
北海道以南、東シナ海、南シナ海に分布する。1歳で全長約18cm、2歳で約25cm、4歳で約
40cmに成長して、体重
は1?を超える。全長1mに達し、20年以上生きる。
 ■ 釣り
オキアミが船釣りの万能餌として登場するまで、全国のマダイ釣りには各地の海に合った実にさ
まざまな釣り方があ
った。極端にいえば浦ごとに仕掛けが違い、ねらいが小型か大型かも含めれ
ばさらに細分されていた。しかし、その多
種多様なマダイ仕掛けも、大きく分ければ、潮流が激
しく複雑な海で釣る「ビシマ糸仕掛け型」、中オモリとマダイテン
ヤを組み合わせた「シャクリ仕掛
け型」、船を流しながら底周辺をねらったり、アンカーで固定してふかせる「胴突き仕
掛け型」とに
なる。これにオキアミやアミを寄せ餌として使う「寄せ餌釣り仕掛け」が加わって現在に至る。
ここでは、
その中から寄せ餌釣り、シャクリ釣り、ビシマ釣りの3つの釣り方を紹介する。
寄せ餌釣りには、従来も各地に生きたイカナゴやキビナゴ、アカエビやサルエビなどをまく釣り方
があったが、生き餌
の確保が難しかった。オキアミが登場してからは、つけ餌にも集魚効果の高
いオキアミを使い、サオ掛けにサオをセット
して待つ置きザオ釣法が主流を占めるようになった。
この釣りは、船頭が指示するタナに的確に仕掛けを落ち着かせ、
寄せ餌がぽろぽろと振り出され
、つけ餌がしなやかにふわふわと漂っていれば、後は魚の食い気を待つだけの比較的
簡単なも
のである。やりとりも本調子のサオの弾力が魚の引きを弱めてくれるので、取り込みやすい。
シャクリ釣りは、比較的浅場のマダイ釣りで行われる。はじめての人やはじめての船では、船の
道具を借りて船頭の
細かな指示を聞くのが得策。釣り場ごとの状況に応じたタナを、長さごとに
色分けされた道糸で指示することがあるか
らである。しかし最近では、電動リールによって目的の
水深まで正確に仕掛けを下ろせるようになったため、タナを水
深で教える場合が多くなった。
餌はクルマエビ、アカエビ、シバエビなど。
マダイ釣りの中で初心者に最も難しいのがビシマ釣りで、底ダチがとりにくいことによる。この釣り
をマスターするには、
船頭や経験者に教えてもらうことと、練習する以外に方法はない。愛好者
が減りつつある釣りだが、潮流の厳しい所
では、身が締まって脂がのったマダイを求めて、現在
も行われている。餌は、シャクリ釣りと同様でよい。
船からねらうことが多いマダイだが、日本海側では、磯からもねらえる。釣り方はウキの流し釣り
か、投げ込み仕掛け
で行う宙釣り。深めの釣り場では、ウキで流す方が広範に探れると同時に
餌が自然に動く利点がある。
 ■ 料理
身は淡紅色で脂気が少なく、味は淡白。鯛飯、鯛茶漬け、鯛麺、鯛ちりなど、鯛の名を冠する
料理はすべて本種を使ったもので、おいしい魚というだけでなく、縁起物とし
ても昔から珍重さ
れてきた。身は刺身、塩焼き、椀種などに、頭はかぶと焼きや潮汁
に、真子は煮物に、中骨は
こんがり焼いて茶漬けにと、さまざまな調理法で余すとこ
ろなく食べることができる。若魚は酢の
物や姿煮にするとよい。

【 かぶと煮 】

頭2尾分はふたつに割って流水で洗い、たっぷりの熱湯に通す。酒を加えただし汁の中に、皮
を上にして並べ、酢水でゆでたウドを加えて落とし蓋をし、強火にかける。
沸騰したら中火にし
て4〜5分煮たところであくをとり、みりん、しょう油、たまりじょう油
で味を調える。水あめ少々を加
え、さらに10〜12分煮る。

【 皮煮 】

刺身をつくる時に引いた皮を太めの短冊に切り、しょう油、酒、みりんで煮て、一味唐辛子と長ネ
ギとアサツキで和える。