Fishing Takeo

  アコウダイ
【別 名】アコ、アコウ、アカウオ、メヌケ
【漢字名】赤魚鯛、阿候鯛
【英 名】MATSUBARA'S RED FISH
 ■ 魚形 ・ 生態 ・ 漁場
体は鮮紅色で、若魚は背部に暗色斑が5個ある。下顎は上顎よりも前方に突き出し、先端
の下面に突起が1個
ある。他のメヌケ類とは、本種では背びれのとげが13本あり、眼の下に
2本のとげがあることなどで区別できる。
大陸棚縁辺から大陸斜面にかけての水深500〜700mの岩礁に生息し、イカ類、甲殻類、
魚類などを捕食する。
冬から春に水深200〜300mの場所に移動して仔魚を産む。本州と四国に分布し、特に相
模湾と駿河湾で多く見
られる。全長60cm。
 ■ 釣り
オオサガ、サンコウメヌケなど、関東地方周辺のアコウダイ釣りに混じる近似種は多く、釣り
人の間では、明確に
分類されずにアコウダイとしてくくられていることが多い。 釣り方と仕
掛けはキンメダイとほぼ同じである。
ただし、キンメダイよりタナがやや低く、底やカケアガリすれすれにあるようなので、仕掛け
が着底したら、すぐに底
をとってアタリを待つ。大物でない限り、キンメダイよりさらにアタリ
が小さく、糸を張ったままではサオ先に出ないこ
とが多い。このため、あえて糸フケをつくっ
て、道糸を手に持ち、指先でアタリを聞くのである。普通、アタリがとれた
らリールをフリー(
スプールの回転を自由にすること)にして、道糸を潮の流れに任せて出してやる。
こうして仕掛けを中オモリの力で底近くにはわせ、2尾め、3尾めを釣る。餌はサバやイカな
どの短冊、ウツボやブ
リの皮を用いる。
アコウダイは、海面まで60〜70mくらいになるとうきぶくろの浮力で浮き上がってしまう。1本
の仕掛けに10尾も釣
れると数キログラムのオモリも浮いてしまい、海面に赤い魚が点々と浮
かぶ。これを釣り人は「アコウの華」と呼ん
でいる。
 ■ 料理
身は淡紅色で、張りがあり、味は淡白。釣りたてよりもおろした身を2〜3日冷蔵庫で寝かせ
たものの方が味わい
が増す。刺身にしてもおいしいが、湯引きをして身をはじかせると、いっ
そうおいしくなる。ほかに鍋物、みそ漬け、
煮つけなどに向く。あらからはよいだしが出る。

【 鍋物 】

 あらと昆布でだしをとり、臭み消しのために熱湯をかけておいた身を入れる。

【 皮霜造り 】

 皮を残して3枚におろした身に、熱湯をかけて素早く氷水にさらす。皮目が引き立ち、甘味
が出てきて食感もよく
なる。ワサビじょう油のほか、ゴマだれやからし酢みそがよく合う。