Fishing Takeo

  クロダイ
【別 名】カイヅ、チヌ、チンチン
【漢字名】黒鯛
【英 名】BLACK SEA BREAM
 ■ 魚形 ・ 生態 ・ 漁場
両顎の前部に3対の犬歯がある。内湾の水深50m以浅の岩礁とその周囲の砂泥底に生息し、
若魚は汽水域や淡水
域にも入る。雑食性で、小型の甲殻類、貝類、ゴカイ類、藻類などを食
べる。春から初秋に、沿岸の浅場で産卵する。
雄性先熟の性転換を行い、幼魚は性的に未熟か雄のみで、全長12cm前後から精子の形成と
ともに卵細胞が出現し
始める。18〜30cmは雌雄同体が多く、20cmを超えるころから完全な雌
が出現し始める。年齢別に見ると、0歳魚で
は性的に未熟か雄のみで雌はいない。1〜2歳魚
では肉眼的にはほとんどが両性、3歳魚から性的に分化した個体
の割合が増え始め、4歳魚
では両性個体が見られなくなる。琉球諸島を除く、北海道以南、朝鮮半島南部、中国大陸、
台湾に分布する。全長60cm。
刺網、定置網、釣りなどによって一年中漁獲される。西日本を中心に養殖も行われている。
 ■ 釣り
磯では、ウキ釣りやフカセ釣りでねらう。ウキ釣りでは、波が穏やかなら自立ウキ、波があれば
円錐ウキがアタリをと
りやすい。磯のクロダイは底近くにいるので、正確なタナとりが決め手であ
る。オモリが海底に着いて、自立ウキのトッ
プが半分くらい頭を出すように調整する。アタリは微
妙で、流れていたウキが止まったり、小さく震えたりする程度のこ
とが多い。ウキが水中に消し
込んでから合わせるとよい。フカセ釣りは、警戒心の強いクロダイの習性に合わせた釣り
方で、
ウキをつけずに、餌が潮の流れに自然に乗るように演出する。アタリは、仕掛けが海底に届い
ていないのに糸フ
ケが出たり、流れていた糸が急に止まったりすることなどでわかる。少しでも
おかしいと感じたら、そっと聞きアワセをし
てみる。
堤防でもウキ釣り、フカセ釣りは有効だが、ヘチ釣りもおもしろく、広く行われている。ヘチ釣り
は、つけ餌のカニなどが、
岸壁に付着したイガイや海藻に沿って自然に落ちていくように演出
する釣り方。ウキ釣りとフカセ釣りは、磯からの場
合とほぼ同じである。そのほかにも多彩な釣り
方があり、浜からの投げ込み釣り、イカダ釣り、船釣りなどでもねらう。
餌はオキアミを用いることが多いが、イカダ釣りでは、生きエビやイソシジミ(アケミガイ)なども
よい。浜ではイソメ類を、
ヘチ釣りの場合は、さまざまな餌を用いる。
 ■ 料理
身は白くて弾力があり、独特な磯の香りが強い。生きているうちにきちんと血抜きをしないと、身
に臭みが残る。刺身、塩
焼き、椀種などに向く。

【 チヌ飯 】

研いでざるに上げておいた米1升を炊飯器か土鍋に入れ、水9合、しょう油1合を加えて混ぜる。
鱗、えら、わたをとり
1時間ほどおいたチヌを、上にのせて炊く。15分ほど蒸らしてから骨をとり、
飯と混ぜる。しょう油の2割を酒に変えると
あっさりした味に仕上がる。

【 お造り 】

 湯引きして皮目を生かし、お造りにする。